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 「私たちは いつまでも 忘れない」
岩手・宮城・福島 震災被災地巡礼の旅の記録

この本の著者である木戸満知子さんは、以前、手作りタウン情報紙「ちあ」を発行されていました。 2006年頃、ホームページ作成のお手伝いで少しだけお付き合いさせていただいたご縁があります。

木戸さんは文章が上手で、いつか本を出版されるだろうと私はずっと思っていました。 その木戸さんが昨年、岩手・宮城・福島と震災被災地巡礼の旅の記録(2011年7月16日〜8月3日)を昨年出版されたので、ここにご紹介します。



旅の発案者である舞踏家の野口さんは、被災地に行き、亡くなられた方への供養と鎮魂の祈りを捧げたいと決めました。

野口さんの舞踏教室に通う元商社マンの山本さんは賛同し、軽の四駆やテントを買い、事前に2回現地に赴き、踊る場所(避難所、仮設住宅)や宿泊場所を決め、野口さんをサポートしました。

そして、著者である木戸さんは被災者の方々にやさしく寄り添い、優しくさする「結い気マッサージュ」で被災者の方々の心と体を癒しました。



震災後には誰もが「自分に何ができるだろうか・・・」と考えました。
それを実行された3人の方々に敬意を表します。

この本を読むと、被災地の様子、被災した方々の様子を伺い知ることができます。 そして「鎮魂の祈りの舞い」を観た方々、「結い気マッサージュ」を受けた方々の様子から、温かい気持ちの交流が伝わってきます。

ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思っています。


木戸さんは毎日ブログを更新されていましたが、5月13日「母の日」に息子さんから贈られたカーネーションの写真を載せた「カーネーションありがとう!!」の記事を最後に急死されてしまいました。とても残念でなりません。

毎日、素敵な写真と文章からたくさんのことを学ばせていただいた木戸さんに感謝の気持ちをこめて、この本を読ませていただきました。
心から木戸さんのご冥福をお祈りいたします。



私たちはいつまでも忘れない
「私たちはいつまでも忘れない」の目次

第1章 出会い・計画・出発・不安
 7月16日 出発の日
 7月17日 いよいよ被災地 小本仮設住宅集会所へ
 7月18日 小槌神社の高千穂神楽見学と、荒馬座公演見学
 7月19日 山田町 御嶽山テントへ
 7月20日 重茂半島から小槌神社へ
 7月21日 釜石市 市民体育館
 7月22日 気仙沼市 清涼院
 7月23日〜26日 一時帰宅
第2章 舞踏家 野口祥子の被災地日記(野口メモより)
 7月23日 陸前高田市 第一中学校避難所
 7月24日 陸前高田市 広田小学校
 7月25日 南三陸町 石泉活性化センター
 7月26日 南三陸町 志津川高校
 7月27日 女川町 総合体育館
第3章 感謝・モデル・不条理・希望
 7月27日 「道中庵」でふたたび合流
 7月28日 多賀城跡から渡波小学校へ
 7月29日 石巻市 男鹿半島鮎川災害ボランティアセンター
 7月30日 東松島市 大塩仮設住宅集会所
 7月31日 オフの日 仙台観光
 8月 1日 石巻市 湊小学校
 8月 2日 福島相馬郡新地町 作田仮設住宅集会所
 8月 3日 帰宅
 著 者: 木戸満知子 ライター
 発 行: 本の泉社
 定 価: 1300円

「あとがき」より抜粋

 私たちが被災地に入らせていただいていいのだろうか、一体何ができるのだろうか、と不安とおそれを抱きながら旅に出ましたが、そんな私たちを、苦難と逆境のさなかにありながら、受け入れ、励ましてくださったのは津波で家を流され、中には家族や知り合いを亡くされた被災されたお一人お一人でした。

 20日に満たない小さな旅の中で、みちのくの被災地は私たちの中で聖地になりました。巡礼の旅の「同行ふたり」は、被災された方がたを心に抱いた旅でした。

 訪ねた避難所や仮設住宅で、被災された方がたが語ってくださった言葉を、忘れることができません。日常と何も変わらないかのようなおもむきで、静かに淡々と体験を語られる一語一語の重さにぬかずき、語られた言葉は宝物のように私の中に沁み込んでいきました。それらを一つ一つ思い出しながら、記録のかたちで文字に記しました。

  私たちのために、遠くからきてくださって、ありがとうございます。
  私たちは、これからも、なんとか生きて行きます。
  どうか、私たちのことを忘れないでください。

そう話された女性の言葉を反すうしています。

(中略)

 「死者も大切だけれど、生きている私たちは生活の手立てを失い、収入の道を断たれました。生きている私たちも助けてほしい」

 通りすがりの旅人である私にまでこれからの不安を訴えてこられた方の悲痛な叫びが耳に残っています。

  私たちは、あなたたちのことをいつまでも忘れません。
  私たちにできることを精一杯さがしながら、あなたたちとともに歩きます。

 そんな思いを、この本を手にしてくださった皆さまと分かち合いたく、出版の運びとなりました。この旅でお会いした人たちの、照らし示してくださった言葉や、表情や、暮らしぶりを忘れることなく、寄り添い、学び、読んでくださる方がたと思いを共有したいという願いを持っています。



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