パソコンのサポートをしている山本です。
パソコン指導、業務ソフトの導入指導、データベース構築などの経験から得た、中小企業におけるパソコン活用、業務効率アップのヒントをお届けします。
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■自社システムの構築
自社業務に合った市販の業務ソフトがない場合、また市販のソフトで処理できない部分がある場合には、自社システムを構築しましょう。
自社業務システムを構築するには、大きく分けると次の2つの方法があります。
1.システム構築を外部に委託する。(外注)
2.システム構築を自社で行う。
それぞれの場合の進め方や注意事項についてご説明します。
システム構築を外注する場合
システム構築を外注する場合の大まかな手順をご説明します。これからの項目を行動の目安にしてください。
@ システム構築先を探す
まず、システム構築の委託先を探します。知人、同業者、商工会議所、業務ソフトのメーカーなどに相談して紹介してもらう方法があります。また、インターネット検索で自分で探す方法もあります。できる範囲で探してみてください。
A 見積りを依頼する
次に、探した委託先の候補に見積りを依頼します。その時、注意していただきたいことがあります。
システム構築の場合、見積りと言っても詳細(正確な)見積りになると業務内容のヒアリングがかなり必要になります。システム構築の相談をすると1〜2回は話を聞きに来てくれるかも知れませんが、業務の詳しいヒアリングに入ると有料になる場合があります。その場合には、取りあえず大まかな見積りを無料で出してもらえるのであれば出してもらえば、ある程度の目安になります。
物を買う場合の見積りと違い、正確な見積り金額を出すためには、業務の詳細を把握し、ある程度のシステム設計をしなければ最終金額は出せません。したがって、本当に正確な見積りを出すにはヒアリング時間とある程度の設計期間が必要になり、当然費用もかかるものだと考えてください。
システム構築を依頼するなら、正確な見積り金額を出すための調査・設計費用がかかるということを理解していただきたいと思います。逆に、無料で簡単に見積りしてくるような委託先は怪しいと思った方が良いと思います。
簡単なヒアリングで見積りが出るはずはないので、安全のため多めに金額を載せてきます。また、簡単なヒアリングで見積り金額を出しても、いざ、詳細ヒアリングに入ると、様々な問題が出て最初の金額で収まらなくなりトラブルの元になることもあります。
私の知る限りでは、正統な(真面目な)システム構築業者は詳細見積りを出す前に調査に時間をかけ、費用もかかる旨、最初から説明しています。多少費用がかかってもしっかり調査する誠実な委託先を選ばれることをお勧めします。
中には、この見積り金額を見て驚く方もいらっしゃると思います。システム構築料金は、システム構築する技術者の人件費で計算します。Oracle や C言語などの技術者は、一人当たり1ヶ月で100万円ぐらいになります。システム構築する場合、業者によりますが、大規模なシステムになると1ヶ月当たり数人で何ヶ月かかるかという計算をします。そうすると、あっという間に数百万円、数千万円になってしまいます。
その金額で驚いた場合は、改めて市販の業務ソフトを上手く使う方法に戻っても良いと思います。それだけシステム構築には費用がかかることを知っただけでも、市販ソフトの有難た味がわかっただけでも価値あることだと思います。
B 詳細打合せの準備
システム構築が決まったら、詳細打合せのための準備をします。この作業がとても重要です。結局どんなシステムを作るかは、どんな業務なのか理解するところにあります。どんな業務かは、実際に業務に携わっている人でなければ分かりません。その業務を正確に伝えるため次の資料を準備されると良いでしょう。
●業務で使用している資料
・どんな情報を管理しているかが分かるもの
・どんな帳票を作成したいかが分かるもの
●業務の流れを明記したもの
●現状での問題点などをまとめたもの
いかに分かりやすい資料を準備するかが、システム導入側の腕の見せ所です。この作業は自社の業務を見直し、整理する意味もあり重要なことです。じっくり取り組んでいただきたいと思います。
これは余談ですが、私がシステム構築する場合、打合せにどんな資料を準備しているかにより導入企業の姿勢をある程度判断することができます。きちっと分かりやすい資料を準備している所は、担当者がしっかりしていてシステム構築しやすいと感じます。そして、それに応えるようなシステムを構築しなければと思います。
そんなやり取りの中から、信頼関係を築いていくものだと思います。
C システム構築の打合せ
システム内容に関わる打合せについては、必ず実際に業務に携わっている現場の担当者を交えてください。管理者は、業務の概要は理解しているけれど、実際の状況を十分把握しているとは限りません。話を聞いているだけでも構わないので、なるべく現場に近い担当者を交えることをお勧めします。
そして何か問題が起きた時、例えば現状の処理をシステム化するのに問題になる処理が出てきた場合には、現場の担当者から直にその処理の必要性を聞くことができます。そして、その処理をシステム化する場合の問題点をシステム構築側が説明し、打合せに参加している人すべてが同じレベルで問題点を把握し、一緒に解決方法を考えることにより、よいシステムができると考えます。
また、現場の担当者が打合せに参加することにより、実際にシステム導入する際にもスムーズな導入に繋がると思います。
そして、その打合せによる決定事項は、設計書、仕様書、提案書などの書面に残し、システム導入側が納得してからシステム構築に進むことが望ましいと思います。この作業をしていれば、導入後トラブルになることも少ないはずです。
D 納品後の動作テスト
さあ、システムが出来上がり納品が済んだら、次はシステム導入側の出番です。システム構築の設計書に基づきシステムができているかを次の点から検証します。
・操作性(動作確認)
・出力帳票の正確性
・処理の過不足の確認
出力結果の正確性を確認するため、少なくても一通りの処理を行う1ヶ月間は、従来の処理(手書き等)と導入システムの処理を並行処理していく必要があります。導入時の検証が曖昧なまま進み、後になって文句を言っても通用しません。導入時にしっかりチェックして検証することがトラブルを防ぐ意味でも重要になります。
そして、導入検証の時期に問題が発生したときには、その点を洗い出し、構築側と打合せしてください。打合せ、検証をしっかり行っていれば、主張することははっきり主張しましょう。そして、両者協議の上友好的に対処してください。
E システムの有償サポート
システム導入後には、そのシステムを使う上で様々なサポートが必要になります。そのため、有償サポートを提示されるケースが多いと思います。
市販の業務ソフト(パッケージソフト)はサポートセンターを設け、専任のサポート要員を確保しています。今ではサポートの必要性は誰もが認めるところとなり、有償サポートも増えています。特注システムの場合、いつでも充実したサポートを受けるためには、有償になってしまいます。
企業はパソコンなどの機器(ハード)を購入すると、当然のように保守契約を結びます。使用中のトラブルに対応してもらい、メンテナンスしてもらうためです。ソフトもハードと同様に考えていただきたいと思います。
システム構築を自社で行う場合
システム構築を自社で行う場合といっても、自社で構築できる範囲はある程度限られてしまいます。次のケースが挙げられます。
・Access を使ってシステム構築する。
・Excel や Access を使って、部分的な処理に利用する。
どちらの場合でも、Acccess や Excel に精通した人がいなければできません。社内に業務にもパソコンにも精通した人材がいれば、外部のサポートを受けてでも、自社で構築されることをお勧めします。
コンサルティングを受けながらでも自社で構築すれば、そのノウハウが自社に蓄えられるので、次回には自社だけで構築できたり、修正できたり、本当の意味でパソコンを有効活用することができるからです。パソコンの有効活用は、社員の方が活用のノウハウを蓄えることが必要なのです。
Excel を活用する場合でも、決して自己流にならず正しい使い方ができる人を交えて構築してください。自己流では本当の業務の効率化はできません。不安な場合には、外部のコンサルティングを受けてください。
エンド・ユーザー・コンピューティングのすすめ
「エンド・ユーザー・コンピューティング」という言葉をご存知ですか?
コンピュータが事務処理に使われはじめた頃、ハードウェアはオフコンが使われ、ユーザー(エンド・ユーザー)はコンピュータ技術者が作ったソフトウェアを使って事務処理していました。
ところが1990年代に入り、ハードウェアはパソコンが主流になり、Windowsなどソフトウェアの技術革新により、それまで使う人だったユーザーが自分たちの力でパソコンを活用できるようになったのです。
その状況を称して「エンド・ユーザー・コンピューティング」と呼ばれていました。
このように、今は決してコンピュータ技術者だけがシステム構築するのではなく、Excel や Access など優れたソフトを使えば、一般ユーザーでもシステム構築することは可能です。そのために、実際に業務に携わる人に正しい使い方、ノウハウを習得していただきたいと考えています
業務に精通した社員の一人ひとりがパソコンの有効活用ができるようスキルアップすることが、業務の効率化に繋がり、エンド・ユーザー・コンピューティングの実現になると思います。私は、そういう企業を一社でも多く作りたいと考えています。
自社でシステム構築したい、システム構築のスキルを身につけたいと考えている企業を、全面的にパックアップしていきたいと考えています。
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